闇夜に啼(く、あの酉(の様に。
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それから数日、父の通夜や葬儀で鶫は何かと慌しく過ごした。
けれど、忙しければ忙しい程、余計な事を考える事もなく、かえって楽でもあった。
なんだかんだあって、最近は学校へはあまり行っていない。
何度か支那から電話があったけれど、居留守を使った。
……誰にも逢いたくなかった。誰とも話したくはなかった。
たとえそれが薫子だったとしても。
誰かに逢ったら、自分はもう平然としていられないかもしれない。その事実が自尊心の高い鶫には耐え難いものであると同時に、そうまでしても他人と拘ることを拒む臆病な自分の頑なさに自責の思いでいっぱいだった。
それから、自分はまだまだ子供であることを改めて自覚せざるをえなかった。
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